問われる公益通報対応=告発職員の訴え届かず―兵庫
5、6両日に行われた兵庫県議会百条委員会では、職員(7月に死亡)が行った斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などの告発に対し、県が公益通報者保護法に基づく保護対象として扱わなかったことが争点となった。職員は生前、真相解明を訴えていたが、斎藤氏は6日の尋問で改めて「誹謗(ひぼう)中傷性が高い文書だ」などと退けた。
同法は、通報者に不利益な扱いをすることを禁止。300人超の企業・団体の場合、内部通報に対応するため、必要な体制を整備することが義務付けられ、同法指針では「通報者捜し」を防ぐ措置も求められている。
証言などによると、斎藤氏が西播磨県民局長だった職員による告発文書を把握したのは3月20日。翌21日、当時の片山安孝副知事らに「誰が出したか徹底的に調べてくれ」と指示していた。職員は27日に局長から解任され、同日の記者会見で斎藤氏はこの職員を「公務員失格」と断じた。
4月4日、職員が同様の内容を県の公益通報窓口に通報。人事課内では第三者機関で調査するよう求める声もあったが、県は5月7日、職員を停職3カ月の懲戒処分とした。
参考人として出席した消費者庁公益通報者保護制度検討会委員の山口利昭氏は、職員を保護しなかった県の対応が公益通報者保護法違反に当たるとの認識を示した上で、「誰がどんな目的で文書を書いたか調べることはあり得ない話だ」と指摘。奥山俊宏上智大教授は「公務員失格」発言を「公開ハラスメントだ」と批判し、「(県の判断は)拙速に過ぎた」と述べた。
これに対し、斎藤氏は文書には「真実相当性がない」とし、懲戒処分についても「法的問題はない」と反論。委員から道義的責任を問われても「道義的責任が何か分からない」と述べるなど、議論はかみ合わなかった。
[時事通信社]
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