茂木氏「勝負の一手」が波紋=大胆公約「豹変」批判も―自民総裁選
自民党の茂木敏充幹事長(68)が党総裁選への立候補を表明した。実務能力が高いと評される一方、世論の支持は伸び悩んでおり、浮揚を狙って「増税ゼロ」など大胆な公約を打ち出した。ただ、これらは岸田政権が進めた路線の否定につながりかねず、政権中枢を占めてきた茂木氏の豹変(ひょうへん)ぶりには批判も広がっている。
「茂木という名前じゃなければ、と思う。あいうえお順で最後になってしまう」。茂木氏は4日の記者会見で、「次の総裁」を尋ねる世論調査で下位に甘んじているのは、質問者が名前を挙げるのが最後になるからだと言わんばかりに語った。
茂木氏に対する党内の評価は真っ二つに割れる。旧日本新党出身ながら自民幹事長に上り詰めたのは安倍晋三元首相ら時の権力者から課題処理能力を買われたため。会見では外相などを歴任したことに触れ、「さまざまな経験を積んだ。人脈なども生かしたい」と強い自負をにじませた。
一方、持ち前の上昇志向は同僚議員とのあつれきも生み、総裁選では自ら率いる茂木派内からも加藤勝信元官房長官(68)が出馬を模索。政権末期に近づくにつれ、岸田文雄首相との確執も取り沙汰された。会見では「反省の思いも持っている。政権を支えきれなかったとの指摘があれば謙虚に受け止めたい」と振り返る場面もあった。
茂木氏は会見で「政策活動費の廃止」「防衛増税の停止」「子ども・子育て支援金の徴収停止」など「国民受けがいい」(党関係者)と目される公約を並べた。総裁選で勝ち筋を見いだせないことへの焦りがにじむ。
もっとも、政策活動費は6月に成立した改正政治資金規正法で温存が決まったばかり。「防衛力の抜本的強化」「異次元の少子化対策」の財源となる防衛増税と支援金徴収も公明党との与党協議も経て決まったものだ。首相周辺は「ちゃぶ台返しだ」と猛反発。自民幹部は「幹事長だったことを忘れてしまったようだ」と冷ややかに話す。
「あの発言は何なんだ」。首相は4日夜に首相公邸で開かれた自民議員との会合で、怒気を含んだ声でこう語ったという。
「ポスト岸田」候補からも苦言が上がる。石破茂元幹事長(67)は記者団に「経済成長で税収が増えるので、防衛増税はやらなくていいという理屈にはならない。納税者に納得してもらうのが政府の一番大事な仕事だ」と批判。小泉進次郎元環境相(43)は「首相を支えてきた幹事長としてどう考えるかが問われる」と強い疑問を呈した。
政権中枢で意思決定に関与してきた茂木氏の発言で、野党から規正法の再改正や防衛増税の見直しを求める声が上がるのは必至。かねて「首相に対抗して総裁選に出馬するのでは」との見方に「明智光秀にはならない」と語ってきた茂木氏だが、候補者の一人は「増税ゼロは旧民主党政権の埋蔵金論と同じ。明智光秀が気の毒だ」と痛烈に皮肉った。
[時事通信社]
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