成長型経済へ議論継続を=岸田首相、最後の諮問会議
政府は3日、経済財政諮問会議を首相官邸で開き、マクロ経済運営の課題を議論した。議長を務める岸田文雄首相は、次期政権を念頭に「賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現を目指す方向性を堅持し、秋以降も政府を挙げて議論を深めていただくことを期待する」と述べた。諮問会議の開催は、岸田政権では今回が最後の見通しだ。
岸田氏は会議で「道半ばの課題」として、持続的・構造的賃上げの実現、官民による国内投資の促進を挙げた。脱炭素化の推進や子育て支援、防衛力の抜本的強化に加え、経済成長と財政健全化の両立に継続的に取り組む必要性も指摘した。
看板政策「新しい資本主義」の成果としては、2024年春闘で33年ぶりの高水準の賃上げが実現したことや、4~6月期に名目GDP(国内総生産)が年換算で初めて600兆円を超えたことなどを列挙。日本経済は「新たなステージへの移行のチャンスを迎えている」と強調した。
とはいえ、名目GDPを膨らませた歴史的な物価上昇の影響を除いた実質GDPは約559兆円にとどまり、国民に成長の実感は乏しい。実質賃金は6月に前年同月比で27カ月ぶりにプラスとなったが、再びマイナスに陥る懸念もあり、物価上昇を上回る賃上げの定着は途上だ。岸田氏が掲げてきた「賃上げと投資がけん引する成長型経済」への転換には課題が山積している。
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