野田氏、保守層取り込み狙う=政権交代へ経験アピール―立民代表選
立憲民主党の野田佳彦元首相(67)が9月の党代表選への出馬を決断した。自民党の派閥裏金事件で政治不信が高まり、立民内には次期衆院選で自民党から離れた保守層の取り込みを期待する声もある。自民総裁選は「刷新感」が注目されるが、野田氏は豊富な政治経験による「安定感」をアピールしたい考えだ。
「本来は自民支持だが失望した保守層の心をつかむことが(政権交代には)必要だ。自分なら果たせるかもしれない」。野田氏は29日、千葉県習志野市で記者団に、出馬を決断した理由をこう説明した。
野田氏は当初、出馬には慎重で熟慮を重ねた。野田内閣で消費税増税を決めた結果、小沢一郎衆院議員らの集団離党を招き、2012年の衆院選で下野することになった自身の責任を強く自覚しているためだ。
その小沢氏と野田氏は7月以降、代表選を巡って複数回会談。「中道から右の野党、穏健な保守層まで狙わないと政権取りはできない」との認識をすり合わせた。野田氏は29日、記者団に「12年の時、一番立場が離れた者同士が問題意識の共有ができたことは一つの前進だ」と会談の意義を語った。
自民総裁選は、小泉進次郎元環境相(43)や小林鷹之前経済安保担当相(49)といった若手も加わる争いとなる。野田氏に近い衆院議員は「自民が若さならば、こちらは安定感だ。(新代表には)野田氏しかいない」と強調。野田氏も「改革もどきを言う世襲の多い金魚に立ち向かうドジョウ」と自身を評し、自民総裁選への対抗意識をあらわにする。
立民内には、野田氏ならば日本維新の会との連携が進むのではないかと期待する声もある。野田氏は共産党を加えた政権を明確に否定するとともに、維新などとの野党連携を訴えているためだ。
ただ、思惑通りに進むかは見通せない。維新の馬場伸幸代表は28日のBSフジの番組で、野田氏が代表に就いた場合の連携について「選挙協力をすることは一切ない」と断言、従来の立場を繰り返した。
[時事通信社]
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