岸田首相、原発再稼働にアクセル=退陣前に「道筋」目指す
政府は来週、東京電力ホールディングス(HD)の柏崎刈羽原発(新潟県)再稼働を目指し、関係閣僚会議を開催する。岸田文雄首相は地元の理解を得るため対策の検討を急ぐよう指示する方針。会議の構成メンバーも拡充する。首相には退陣前に原発活用の道筋を付けておきたい狙いがありそうだ。
「残された任期の間にグリーントランスフォーメーション(GX)を一歩でも前進させるために尽力する。その一つが東日本における原発再稼働の準備だ」。首相は27日、首相官邸で開いたGX実行会議でこう強調。脱炭素や、大規模なデータセンターの電力需要に対応するため、原発再稼働を進める必要性を訴えた。
柏崎刈羽原発は6月に安全確認の検査を終え、地元自治体が再稼働に同意するかどうかが焦点。新潟県側には事故発生時の避難体制などへの懸念がある。このため、政府は新たに国土交通相らを会議に加え、避難路の整備などの検討を進める方針だ。
首相は「原発事故を起こした東電への不安の声があることは正面から受け止める」と表明。林芳正官房長官は28日の記者会見で「原子力防災などに関する地元からの要望も踏まえた対応が主な議題になる」と説明した。
首相が再稼働を急ぐ背景には、自民党総裁選出馬を表明した候補者の発言もありそうだ。河野太郎デジタル相が持論だった「脱原発」からの転換を鮮明にした一方、石破茂元幹事長は「原発ゼロに近づける努力はする」と述べている。首相は、総裁選の結果にかかわらず、原発再稼働への流れを定着させたい考えとみられる。
[時事通信社]
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