自民総裁選「倹約」が課題=2億円相場、実効性に疑問も
9月の自民党総裁選は、いかに選挙経費を節約できるかも課題となる。派閥裏金事件を受け、「政治とカネ」の関係には世論の厳しい視線が注がれており、多額の資金を費やせば批判が一層高まるのは必至。党総裁選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)は各議員に「金のかからない総裁選」を文書で求めたが、活動を制限されることへの反対論は根強い。
「自分たちで集めたカネを大いに使うのが総裁選だ」。ある派閥のベテラン秘書はこう言い放った。陣営が詰めるホテルの会場費や飲食費に使われるほか、派閥政治の全盛期は事実上の買収工作のため「実弾」と呼ばれるカネが乱れ飛んだとされる。
党員投票の支持集めでも多額の資金が必要だ。2023年末時点の党員数は109万人余りで、全員に政策パンフレットを郵送すれば「1回でざっと1億円かかる」(渡海紀三朗政調会長)。自動発信による電話の呼び掛けなども含めれば全体の費用は2億円程度に上るとも言われる。
だが今回は裏金事件の大逆風下で実施されるため、党内から「倹約」に努めるべきだとの意見がある。逢沢委員長は20日の記者会見で「国民から大変厳しい指弾を受けている」と指摘。翌21日に「多額の費用をかける運動は許されないとの認識を共有すべきだ」とした要請文を出した。
これまでの総裁選では、告示前は郵送や電話の制限はなく、告示後は郵送が禁じられていた。総裁選管は、告示前も含めて郵送や電話をどう規制するかを検討しており、9月上旬に開く次回会合で具体的な対応を決める予定だ。ただ、それまでに事実上の選挙戦は始まっており、罰則を設けるのも現実的ではないため、実効性は不透明だ。
各陣営の費用を抑えるため、党機関紙やウェブサイトで候補者を紹介するなどの案も浮上するが、陣営からは「やってみなければ分からない。政策は伝わらないと意味がない」と懐疑的な声が上がっている。
[時事通信社]
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