菅氏、「小泉支持」に傾斜=河野氏と溝、決選見据え動き―自民総裁選
9月の自民党総裁選を巡り、菅義偉前首相が小泉進次郎元環境相(43)の支持に傾いている。次期衆院選への危機感を強める菅氏は「選挙の顔」として知名度が高い若手の小泉氏がふさわしいとみており、側近議員が支援に動く。一方、前回総裁選で支持した河野太郎デジタル相(61)については、「脱派閥」への向き合い方に不満を示しており、支援には消極的だ。
無派閥の菅氏と小泉氏はともに神奈川県選出。菅政権末期の2021年夏には党内で吹き荒れた「菅降ろし」に対し、環境相だった小泉氏が「首相の改革姿勢が伝わっていない」と政権維持に奔走した。最近も、一般ドライバーが自家用車を使い有償で客を運ぶ「ライドシェア」推進で歩調を合わせるなど、両氏の関係は良好だ。
菅氏が小泉氏支持に動くのは、派閥裏金事件による自民への逆風で、次期衆院選は与党過半数割れの可能性もあると焦りを募らせているためでもある。
「刷新感が最もあるのは小泉氏」。岸田文雄首相への批判を強めていた先月、菅氏は周辺にこう話し、「ポスト岸田」の最有力候補との見方を示した。こうした意向に呼応し、菅氏に近い佐藤勉元総務会長、坂井学元官房副長官らも小泉氏出馬に向けた動きを加速している。
対照的に、「将来の首相」とかつて持ち上げた河野氏との距離は広がる。3年前の前回総裁選後も河野氏は麻生派にとどまり、今回も領袖(りょうしゅう)の麻生太郎副総裁とたびたび会談し協力を求めており、脱派閥を志向する菅氏は失望しているという。菅氏は麻生氏とかねて緊張関係にあり、両氏の主導権争いの側面もにじむ。
総裁選に名乗りを上げた面々では、石破茂元幹事長(67)も早くから菅氏の支援に期待する。菅政権で官房長官を務めた加藤勝信氏(68)は21日、菅氏と会談し支持を要請した。乱立模様の総裁選は上位2人による決選投票になる可能性が高く、ポスト岸田候補と関係を維持する菅氏の動向がカギを握りそうだ。
[時事通信社]
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