早期解散論、自民に強まる=総裁選、「刷新」へ期待感
岸田文雄首相の退陣表明を受け、9月の自民党総裁選から間を置かずに衆院解散・総選挙が行われるとの見方が自民内で急拡大した。新総裁選出による「刷新感」を前面に出せば、優位に選挙戦を運べるとの思惑がある。総裁選も早期解散を意識した「顔」選びの側面が出ている。
「解散はこの秋しかない」。後継総裁レースが活発化した15日、選挙基盤に不安を抱える自民若手から、こうした声が上がった。岸田首相を支え続けた党幹部も「新しい総裁で早期に信を問わなければいけない」と指摘。中堅は「新首相は経済対策の策定と並行して衆院解散に踏み切る」との見方を示した。
岸田首相が総裁選不出馬を余儀なくされたのは、来年10月に衆院議員の任期満了を控え、このままでは選挙を乗り切れないとする党内の退陣圧力に抗し切れなかったからだ。「総裁選で勝てたとしても衆院選が厳しい」。首相は14日、ベテラン議員に退陣の理由をこう伝えた。
2020年に発足した菅政権の「教訓」も記憶に新しい。世論の高い支持を集めた政権発足時に衆院解散を見送り、その後は新型コロナウイルス対策を巡る批判の高まりから支持率が低下。解散の時機を逸したまま翌年に総裁選不出馬へ追い込まれ、短命政権に終わった。「早期解散はもはやセオリーだ」。当時のいきさつを知る政府関係者はこう話す。
早くも吹き始めた解散風に、自民内ではフレッシュさを重視する観点から小泉進次郎元環境相(43)や小林鷹之前経済安全保障担当相(49)への期待も高まる。ベテランから若手まで「多くの候補による論戦で盛り上げたい」との声が漏れる。
来夏には東京都議選と参院選が控える。力の分散を避ける観点から、公明党はこれらと同時期に衆院選を行うのに反対論が強く、もともと「今秋のうちに」という立場だった。同党ベテランは「早々に解散しないと、政権が失速して勝てなくなる恐れがある」と語った。
一方、派閥裏金事件に端を発した「政治とカネ」を巡る問題の議論は低調なまま。15日には秘書給与詐取事件で自民を離党した広瀬めぐみ参院議員が辞職した。野党は「自民の体質」(立憲民主党の泉健太代表)と批判しており、看板の掛け替えで世論の納得を得られるかどうか不透明だ。
[時事通信社]
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