父との特訓、絶対女王の原点=けが乗り越え、つかんだ栄冠―レスリング・藤波選手〔五輪〕
金メダルに輝いたレスリング女子53キロ級、藤波朱理選手(20)=日体大=は父俊一さん(59)との二人三脚で連勝街道を突き進んだ。本番直前のけがを乗り越え、パリで大輪の花を咲かせた。
俊一さんが指導するレスリング教室に通う七つ上の兄について行き、マットで遊んだ。家庭でも話題の中心はレスリング。4歳で教えを請うたのも自然の流れだった。
タックルには幼少の頃から光るものがあったという。俊一さんは「早さは天性のもの。足を取るのが抜群にうまかった」と回顧する。
小1から何度も大会で優勝した藤波選手。だが、中学に上がると年上の選手に負けることが増えた。「もっと強くなりたい」。ある試合で負け、悔し涙を流して訴えた。課題はディフェンスと筋力づくり。教室での練習が終わった後も父と特訓に励んだ。そのかいあって中2秋からは負け知らず。破竹の連勝が始まり、高3で出た世界選手権で圧勝した。
快進撃を続ける娘の姿に、俊一さんはある思いを抱くようになっていた。五輪ではセコンドに―。俊一さんは30年以上の教員生活に終止符を打ち、日体大(東京都)に移る。後を追うように入学した娘のコーチに就いた。藤波選手は、都内で同居する父に加え、五輪を4連覇した伊調馨さん(40)らの指導も受け、昨年秋にパリ五輪代表に内定した。
破竹の勢いのまま突き進むかに見えた。だが、今年3月、練習中に左肘を脱臼する。「心の痛みも過去最大だった」と藤波選手。練習できず、不安が募る中、母千夏さんから「今で良かったんだよ」と励まされた。地元の三重県に残り、離れて暮らしていた千夏さんも今春から同居するようになり、藤波選手は「すぐに前を向くことができた」と振り返る。
セコンドについた父に見守られ臨んだ今大会は終始圧倒的な強さを見せ、金メダルが決まると父に抱き付いた。2人で日の丸を掲げ、満面の笑みでウイニングランをした。 (時事)
[時事通信社]
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