米、大幅利下げ観測も=雇用悪化懸念で急浮上
【ワシントン、ニューヨーク時事】2日に発表された7月の米雇用統計は、好調だった労働市場の鈍化を浮き彫りにした。想定以上の減速を受け、連邦準備制度理事会(FRB)が9月の次回金融政策会合で、0.5%の大幅利下げを決めるとの観測も浮上している。
雇用統計では、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数が前月比11万4000人増と、市場予想(17万5000人増)を大きく下回った。失業率も4.3%と4カ月連続で上昇。景気と雇用の急速な悪化に対する警戒感から、株価や原油相場などが急落した。
パウエルFRB議長は先月31日の記者会見で、9月会合での利下げ検討の可能性を明言。一方、金利変更幅を通常の0.25%ではなく、より大幅な0.5%とするのは「現時点では考えていない」と語った。ただ、弱い雇用統計を受け、市場では「0.5%利下げもあり得る」(米金融大手)との見方が急激に広がった。
シカゴ連邦準備銀行のグールズビー総裁は2日のテレビインタビューで「単月の指標には過剰反応したくない」と述べ、市場の行き過ぎた動きをけん制。一方、4.1%程度とする米国の長期的な失業率を上回る状態が続くようなら「FRBは(金融緩和による)対応を検討しなければならない」と強調した。
もっとも、雇用増は保たれ、求人数も直近で約820万人と、失業者数の約1.2倍に達する。米労働市場の長期的な安定に必要な就業者の増加幅は前月比で「9万~10万人程度」(FRB高官)との見解もある。
大和総研ニューヨークリサーチセンターの藤原翼研究員は「求人数が失業者数を上回っているため、すぐに景気後退入りすることは主要シナリオとは考えていない」と話した。
[時事通信社]
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