都市部の税流出止まらず=ふるさと納税、被災地支援は定着
総務省は2日、2023年度のふるさと納税の寄付総額が初めて1兆円を超えたと発表した。被災地への寄付など自治体を支援する仕組みとして定着した一方で、多くの人が返礼品目当てで利用する傾向は変わらず、都市部の自治体では税収の流出に歯止めがかかっていない。
ふるさと納税は、寄付額から2000円を除いた額が住民税などから差し引かれる仕組み。15年度に控除額の上限が2倍に引き上げられたのを機に、利用者が拡大。各自治体が寄付者に贈る返礼品を充実させたことも手伝い、飛躍的に普及した。
被災地支援に利用する動きも広がる。今年1月の能登半島地震で大きな被害を受けた石川県内の自治体には23年度、前年度の倍以上となる113億円の寄付が集まった。同県輪島市の担当者は「制度がなければこれだけの支援を頂くことはなかったと思う」と語る。
ただ、肉や海産物といった人気の返礼品をそろえる自治体に寄付が集中する状況は続いている。総務省は19年度、返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」に制限し、過度な返礼品競争は落ち着いたが、23年度は上位20団体の寄付額が全体の寄付額の約2割を占めた。
制度の利用者が多い都市部の自治体では税収の流出が深刻だ。東京都世田谷区の24年度の流出額は初めて100億円を超え、担当者は「住民サービスを提供する立場として見過ごせない額だ」と危機感を示す。
区は従来の方針を転換して返礼品を充実させ、寄付獲得に乗り出しているが、受け入れ額は約3億円にとどまり、流出分を埋め合わせるには程遠い状況。都や他の特別区などと制度の抜本見直しを国に求めている。
[時事通信社]
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