コロナの傷、修復探る=米映画「時々、私は考える」公開へ―ランバート監督語る
米西海岸の小さな港町で、孤独と向き合う若い女性を描いた米映画「時々、私は考える」が26日から日本で公開される。米国はコロナ禍で世界最多の死者を記録した。他人との接触を断つ日々は過去になったが、元通りにはならず、対人関係にぎこちなさが残る人もいる。レイチェル・ランバート監督は「私もどう人とつながっていいか分からなくなった。この映画は修復の物語だ」と紹介した。
米国と日本を結んだオンライン取材で時事通信に語った。映画の主演は「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(2015年)などでヒロインのレイを務めたデイジー・リドリー。剣士から打って変わり、死について考えてばかりいる女性を演じ新境地を開いた。煩わしかった同僚と交流を重ねながら、少しずつ前向きな変化をつかんでいく姿を描いた。
作品中に「コロナ」は一切登場しない。ただ、撮影開始はコロナ禍後半の21年9月。コロナ禍が「作品の世界に影響を与えたのは間違いない」と監督は語る。「人とつながっていたいが、やり方を忘れてしまった」。そんな気分が米社会を覆う中で撮影は進んだ。
小津安二郎の作品に影響を受けたという監督は、西部オレゴン州のアストリアという静かな町を撮影地に選んだ。映画の舞台設定もアストリア。「今の時代からは少し離れていたい主人公の気持ちとぴったりだったから」。11月の大統領選を控え米国は騒々しいが「この映画を見終わった後、少し他人への思いやりが増えていればうれしい」と話している。
[時事通信社]
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