親魚増加で漁獲枠拡大=マグロ資源、気候変動に懸念
太平洋クロマグロ(本マグロ)の漁獲枠を2025年から増やすことで関係漁業国・地域が基本合意した。過去の漁獲規制が奏功し、卵を産む親魚の資源量が回復してきたためだ。ただ、地球温暖化で海洋環境は変化しており、気候変動の影響が資源管理の新たなリスクに浮上している。
太平洋海域に生息する親魚の資源量(推定値)は、1995年には約7万9000トンだったが、10年には過去最低水準となる約1万2000トンに減少。15年から本格的な漁獲規制が始まり、22年には約14万4000トンまで増加した。
日本は今回の国際会議で「資源が急激に回復する一方、漁獲上限が据え置きとなっており、漁獲する機会を失っている」(坂本哲志農林水産相)として、大型魚(30キロ以上)の漁獲枠を2.31倍とするよう提案した。交渉の結果、1.5倍で基本合意したが、漁獲規制で資源量が増えれば漁獲枠が増えることを示した。
ただ、今後も資源量が回復傾向を維持できるか不透明感も残る。気候変動の影響とみられる資源量の変動が他の魚種では目立ち始めているからだ。日本のサンマとスルメイカ、サケ類の3魚種の漁獲量を見ると、14年の約55万トンから22年には約14万トンへと、8年間で4分の1に減少した。全魚種でもこの間、約371万トンから約295万トンへ2割減っている。
日本近海の平均海面水温は上昇傾向で、23年までの100年間で1.28度上昇。海水温が急激に上がる「海洋熱波」の発生頻度も大幅に増えている。海洋環境の変化による魚への影響には未解明の部分があり、太平洋クロマグロの資源量や回遊パターンにも変化を及ぼす可能性がある。
[時事通信社]
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