創造性富む若き司令塔=安平、欧州経てたくましく―ハンドボール男子
激しい接触プレーが繰り広げられるハンドボールで、男子日本代表の安平光佑(RKバルダル)は身長172センチと小柄だ。それでも司令塔を任される理由は、豊かな創造力と高い技術にある。「競技人生の中で五輪に臨む機会は少ない。2勝はして、1次リーグを突破したい」。初の8強入りに燃える。
昨秋のパリ五輪アジア予選で名を上げた。緩急をつけた展開力や、俊敏な1対1で得点にアシストと大活躍。36年ぶりの自力出場に貢献した。右足首負傷から復帰した今は、「自分の判断で周りを生かせている。本番までに100%にしたい」と頼もしい。
数少ない欧州組だ。富山・氷見高時代から「ファンタジスタ」と騒がれたが、日体大で学生日本一を逃して危機感を覚えた。「このままでは自分の成長が止まる」。意を決し、本場欧州に挑戦。時には200センチを超える屈強な選手相手に、「接触より距離間を磨こう」と考えた。位置取りやタイミングなどを突き詰め、日本男子選手初の欧州チャンピオンズリーグ出場も果たした。
特別な思いもある。今年の元日。所属クラブのある北マケドニアから帰国し、故郷のすし屋にいる際に能登半島地震に見舞われた。大きな災禍に「氷見に育ててもらったので、少しでも恩返しをしたい」。24歳で副主将も務め「初めての五輪でも高ぶらず、冷静に臨みたい。若さでチームを勢いづけたい」。秘める信念を、夢舞台にぶつける。
[時事通信社]
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