韓国大統領、欧州各国に原発売り込み=NATO首脳会議足掛かりに
【ソウル時事】北大西洋条約機構(NATO)首脳会議への出席に合わせ、韓国の尹錫悦大統領は10日、米ワシントンでチェコのパベル大統領らと会談した。北朝鮮とロシアによる軍事協力への懸念を共有した上で、欧州のNATO加盟国への原発輸出を目指しトップセールスを展開した。
大統領府によると、チェコは最大で原発4基の建設を計画する。韓国水力原子力とフランス電力(EDF)の電力2社が競争入札に参加し近く優先交渉対象者が発表される見通しだ。
尹氏は、パベル氏との会談で「韓国は世界最高の施工能力と圧倒的な価格競争力を有している」とアピール。韓国輸出入銀行などを通じて金融支援も可能だとして、「韓国を選べばチェコの原発分野の発展に大きく貢献する」と強調した。
パベル氏は「普遍的価値を共有する民主主義国としての友好関係を土台に実務協力を拡大させたい」と応じた。尹氏は自らを「韓国1号営業社員」と称し「セールス外交」を掲げており、原発事業の受注に向け最後の一押しを図った形だ。
尹氏は、原発新設を検討するスウェーデンとオランダ、フィンランドの首脳とも会談し、協力を議論した。ロシアのウクライナ侵攻を機に、欧州ではエネルギー安全保障の観点から原発への回帰が強まる。スウェーデンは2045年までに約10基を新設するという。
尹政権は文在寅前政権の「脱原発」政策を廃止し「原発最強国」を目指す。安定的な電源確保と原発産業の育成のため国内でも原発の建設を推進。36年に電源構成の原発比率を34.6%まで高める方針だ。
[時事通信社]
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