ガザ市住民「もはやどこへ?」 イスラエル軍、3度目の退避警告
【ガザ市AFP=時事】ロバに引かせた荷車、自転車、徒歩──パレスチナ自治区ガザ地区最大の街、ガザ市から8日、大勢のパレスチナ人が避難した。≪写真は損壊した建物の前を歩く人々。パレスチナ自治区ガザ地区のガザ市東部トゥファ地区で≫
ガザ紛争が始まってから、イスラエルがガザ市に対し、退避を警告したのは3度目だが、今回は市の大部分からの退去を命じている。
しかし、すでに同市には、戦火で荒廃したガザ地区各所から無数の家族が避難している。
「もはや、どこに行けばいいんだ?」。そう嘆いたアブドラ・カマッシュさんは、最近身を寄せていた避難所を午前3時に後にした。
イスラエル軍の戦車は、戦闘機とドローン攻撃の援護を受けながら、ガザ市中心部へ入った。同軍報道官はサブラ、リマル、タル・ハワ、ダラジ地区の住民に「人道地帯」へ避難するよう警告した。
イスラム組織ハマスが実効支配するガザ地区の民間防衛当局は、避難警告が出る前から、市内各地で計「数十人」の死傷者が報告されていると述べた。
エルサレム・中東聖公会のエルサレム教区は声明で、7日に市内のアハリ・アラブ病院付近で「無人機から大量の攻撃」があった後、イスラエル軍が同病院に避難を命じたと伝えた。病院は「閉鎖を余儀なくされ」、機能していないという。
国連(UN)によると、ガザ地区で現在機能している病院は半数以下で、しかも部分的な運営に限られている。同教区は「病気やけがをした人々には選択肢がほとんどない」と訴えた。
イスラエル軍は先月27日に避難命令を出したガザ市のシュジャイヤ地区で、約2週間にわたって攻勢を続けており、最新の戦闘では「テロリスト」数十人を「排除」したと発表している。
作戦の標的には、ガザ市にある国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)本部も含まれている。対象となる目標については、ハマスの施設や戦闘員の存在を示唆する情報に基づいているという。
ガザ市住民のムハンマド・ビサンさんは「戦闘機の空爆、砲撃、ドローンも四方八方から発砲してくる。右に行こうが左に行こうが、どこに逃げればいいのか分からない」とAFPに語った。
別の住民カマシュさんは、イスラエル軍は「ここを離れて別の地域へ移動しろと言うが、すると彼らはその方向からやって来る」といら立ちをにじませた。
家族で「路上で寝ていると、私たちを気の毒に思った人々が毛布をくれた。私たちはまた、こうしてがれきの中で暮らしている」とカマシュさんは語った。
腕にプラスチックの袋を抱えた彼は「これから何が起こるか、神のみぞ知る。私たちを生き埋めにして、終わりにしてほしい」と言った。【翻訳編集AFPBBNews】
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