伊藤環境相「できる限り寄り添う」=水俣病マイク問題で再懇談―熊本
水俣病被害者団体と伊藤信太郎環境相との懇談の場で環境省職員がマイクの音を切った問題で、同省は8日、熊本県水俣市で再び懇談の場を設けた。伊藤氏は六つの被害者団体と面会し、「改めておわび申し上げる。できる限り寄り添って対応する」と謝罪。団体側から出ていた共同要求書への回答などを行ったが、患者の認定制度については従来見解通りで、団体側からは批判の声が上がった。
共同要求書には、患者の認定制度の見直しや適切な健康調査の実施などが盛り込まれていた。伊藤氏は、メチル水銀の影響に関する住民への健康調査を遅くとも2年以内をめどに始められるよう検討する考えを表明。ただ、認定制度については「公害健康被害補償法(公健法)に基づき、認定業務を行う関係県・市などは個々の申請者を総合的に検討している」と述べるにとどめた。
団体側からは「ゼロ回答で残念。懇談を踏まえて前向きな回答をお願いしたい」「総合的というのは、被害者を何一つ考えない都合の良い言葉だ」などの批判が相次いだ。
当時、懇談の場で発言を妨げられた山下善寛さん(83)は、水俣病被害が広がり、長期化していることを挙げ「一刻も早く解決してほしい」と声を震わせた。
伊藤氏は終了後、記者団に懇談の感想を聞かれ「自身が水俣病で苦しんでいるのに、自分以外の人のため行動することに感動した」と涙を流した。一方、団体側が「ゼロ回答」としたことについては「現時点ではできる限り具体的に答えた」と述べた。
[時事通信社]
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