2024-07-06 14:45社会

クラファン支援、再建の一歩に=大手3社に5カ月で13億円超―活用広がる・能登地震半年

クラウドファンディング(CF)で店舗の再建費用を募った「高沢ろうそく店」の5代目、高沢久さん。支援者からの応援メッセージを仮店舗の窓に張り出していた=6月24日、石川県七尾市

 能登半島地震では、ウェブ上で個人から支援を募るクラウドファンディング(CF)を活用する動きが広がった。運営大手3社に集まった支援金の累計は13億円超。CFを通じて手を差し伸べられた被災者は、集めた資金で再建の一歩を踏み出している。
 石川県七尾市にある創業約130年の老舗「高沢ろうそく店」は、地震で軒先の屋根が落下し、全壊判定を受けた。店舗は築100年超の国の有形登録文化財。5代目の高沢久さん(51)は改修することを決め、CFで約1200万円を集めた。
 同店は3月に仮店舗で営業を再開。支援金の一部は倒壊した軒先の撤去費に使い、現在は本格改修に向けた調査を進めている。高沢さんは、仮店舗の窓に張り付けた支援者からの応援メッセージを眺めながら「一人ひとりの言葉に勇気づけられた。再建したら見に来てほしい」と力を込めた。
 輪島市の景勝地「白米千枚田」を管理する地元団体「白米千枚田愛耕会」は、CFで約1700万円の復旧費用を集めた。作業には10人ほどのメンバーが参加しており、半数が金沢市など2次避難先から数時間かけて通っている。
 そこで同会は、支援金の一部で隣接する道の駅(休業中)に簡易シャワーを設置。市の許可を得て寝具を用意し、遠くから通うメンバーも泊まりがけで作業できるようになった。
 メンバーの白尾真紀子さん(40)は「感謝と同時に、支援金を有効に活用しなければならない責任も感じている。大切に使って元気な田んぼに戻したい」と意気込んだ。
 CF運営大手「READYFOR」、「CAMPFIRE」、「マクアケ」の3社によると、5月末までに能登半島地震関連のCFは計約330件に達し、集まった金額は累計で約13億9000万円。支援者数は延べ8万人近くに上る。
 早稲田大の小阪玄次郎教授(経営学)は「能登半島地震では、CFを通じた支援が驚くほど増えた。支援相手や資金の使い道など『顔』が見えるという特徴と、自分の共感できるものにお金を出したいという消費トレンドがマッチしているのではないか」と指摘する。
 その上で「集まる金額がCFのウェブページの出来栄えに左右されるという研究結果も出ている。支援する場合は、その内容や志にも注目してほしい」と話した。 
[時事通信社]

白米千枚田を管理する「白米千枚田愛耕会」による復旧作業の様子=6月21日、石川県輪島市
白米千枚田の復旧費用をクラウドファンディングで募った「白米千枚田愛耕会」の白尾真紀子さん。支援金の一部を活用して簡易シャワー(左奧)が設置された=6月21日、石川県輪島市

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