改革派勝利で穏健外交か=核合意、制裁解除へ変化期待―イラン
【イスタンブール時事】イラン大統領選決選投票で改革派のペゼシュキアン元保健相(69)が勝利した。同氏は欧米などと結んだ核合意再建や経済制裁の解除に向け、国際社会との対話や協調に意欲を見せる。核開発や中東情勢を巡りイランと欧米の関係が冷え込む中、政権交代に伴い穏健な外交を推進できるかが課題だ。
5月に死亡した保守強硬派ライシ大統領は、欧米と対立を辞さない姿勢を堅持。最高指導者ハメネイ師の主導の下、反米共闘を視野に中国やロシアとの連携を強化したほか、サウジアラビアなど中東諸国との関係改善を進め、イスラム組織ハマスやイスラム教シーア派組織ヒズボラなどイスラエルを敵視する親イラン勢力を支えて中東での影響力を増大させた。
ペゼシュキアン氏は選挙戦で「世界との建設的な対話」「国民に安心を与える外交」を訴えた。しかし、イランでは国政の全権をハメネイ師が握り、大統領の権限は限定的なため、変革に懐疑的な市民も多い。米シンクタンク「スティムソン・センター」のバーバラ・スラビン研究員は「新政権では外交の性格が変化し、西側との関係修復に努めるだろうが、これまでと大きな違いはない」と予測する。
改革派を勝利に導いたのは、保守強硬派主導の硬直化した体制や閉塞(へいそく)感への不満だ。改革派ハタミ政権で副大統領を務めたモハンマド・アリ・アブタヒ師は「小さな変化でも、社会に希望の兆しを与えることはできる」と期待を示す。ただ、ペゼシュキアン氏が核合意立て直しや制裁解除で具体的成果を出せなければ、市民の失望は増しかねない。
ペゼシュキアン氏は対欧米融和を掲げたハタミ師や、国際協調を進めた保守穏健派ロウハニ前大統領らの支援を受けた。ハタミ、ロウハニ両政権は、保守強硬派の抵抗や敵対する米国の政策変更などもあり、改革が行き詰まった。ペゼシュキアン氏も強硬派の反発で、政権運営で困難が続く恐れもある。テヘラン大学のフォアド・イザディ准教授(国際政治)は「(欧米などに対し)新しいアプローチを模索して新たな譲歩をすれば、保守派が反対して失敗しかねない」と指摘している。
[時事通信社]
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