2024-07-06 10:01

護衛艦多数で特定秘密不適切管理=海自トップ、引責辞任の意向―無資格者が扱い、幹部ら処分へ・防衛省

 海上自衛隊の護衛艦など多数の艦艇で、安全保障に関する「特定秘密」に指定された情報を、資格がない隊員に取り扱わせる不適切な運用をしていたことが6日、防衛省関係者への取材で分かった。不適切な運用は常態化していたとみられ、同省は海自幹部の処分を検討している。
 この問題などを受け、海自制服組トップの酒井良海上幕僚長は引責辞任する意向を示しているという。
 特定秘密は、防衛や外交などに関する情報のうち、漏えいすると国の安全保障に著しい支障を来すとされる情報について、大臣などが指定する。指定情報を扱うには、交友関係や飲酒傾向、犯罪歴などを確かめる適性評価で認められる必要がある。
 海自では護衛艦「いなづま」で2022年、当時の艦長が適性評価を受けていない隊員を「特定秘密取扱職員」に指名し、特定秘密に当たる情報に触れさせていたことが判明。防衛省は今年4月、管理がずさんとして艦長らを停職などの懲戒処分とし、同様の事案がないか調査していた。 
 関係者によると、調査の結果、他の複数の艦艇でも幹部が特定秘密を無資格の隊員に扱わせる不適切な事例が確認された。艦の戦闘指揮所に無資格隊員を配置し、モニター画面に表示される艦艇の航跡情報などの特定秘密が閲覧可能な状況で勤務させるといった、常態的に秘密に触れられる違法な運用が長く続いていたとみられるという。
 防衛省は近く調査結果を公表し、関係者を処分する方針。酒井氏は海上幕僚監部防衛部長や横須賀地方総監などを経て、22年3月から海幕長を務めている。
[時事通信社]

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