2024-07-06 00:26社会

防災公園「復興の活力に」=整備担当の倉敷市職員―西日本豪雨、6日で6年

西日本豪雨から6年を前に開園した「まびふれあい公園」(岡山県倉敷市提供)

 300人以上(災害関連死含む)が犠牲となった2018年7月の西日本豪雨は最初の特別警報から6日で6年となった。被害が大きかった岡山県倉敷市真備町地区では、復興防災公園「まびふれあい公園」が開園した。堤防が決壊するなどした小田川沿いの敷地を一部かさ上げし、平時は住民の交流拠点となる一方、災害時には一時避難場所として活用される。5年にわたる整備計画に当初から携わった市公園緑地課の課長代理西村貴裕さん(53)は「これが出発点。多くの人が公園に来て町がにぎわえば、復興への活力にもなる」と意気込む。
 18年7月6日の豪雨災害では小田川と支流が決壊。真備町地区全域の3割近くが水没して約4600戸が全壊し、51人(災害関連死を除く)が亡くなった。
 西村さんは当時、大雨に備えて倉敷市内の河川敷に設置されていた仮設トイレなどの移転作業に当たっていたが、真備支所管内だった同地区の被害実態は後から知ったという。「今までにない大雨との認識はあったが、こんなに被害が出ていたとは分からなかった」
 翌19年に入ってから、復興のシンボルとなる防災公園の整備計画づくりに加わった。住民からは「一度決壊したのに安全なのか」「そんな所に逃げたくない」などと疑問の声も上がったが、「水害以外からの避難や救護活動、日常的な利用を考えると、市街地からも近くて便利」などと粘り強く説明し、理解を広げた。
 完成した公園は、約4.5ヘクタールある敷地の一部を堤防と同じ高さまで約6メートルかさ上げ。車約400台を収容し、ヘリポートも開設できる空間を確保し、中央部には多目的室と備蓄倉庫からなる建屋を設けた。災害時の避難場所が明確となり、「住民は安心安全に対応できるようになるだろう」と期待する。
 計画当初から完成まで見届けたただ一人の同課職員となった西村さんは、「公園は地区の情報や魅力発信の場でもある」と強調する。13日には地元恒例の「真備・船穂総おどり」が開かれるほか、県推奨サイクリングロードの拠点に位置付けられており、「SNS発信などを通じて地区外からの来園にもつながればうれしい」と期待する。 
[時事通信社]

まびふれあい公園の開園を見届けた岡山県倉敷市職員の西村貴裕さん=3日
開園したまびふれあい公園の中央部にある建屋。左側が防災備蓄倉庫、右側が多目的室となっている=3日、岡山県倉敷市

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