1法人20口座サービス悪用か=ネット銀、開設数規制なし―大規模マネロン事件・大阪府警
架空会社名義の口座を作り、犯罪収益をマネーロンダリング(資金洗浄)するグループが大阪府警に摘発された事件で、インターネット銀行が提供する1法人で20口座開設できるサービスを同グループが悪用し、マネロン用口座を量産していた疑いがあることが4日、関係者への取材で分かった。
法人口座の開設は、1法人1口座とする銀行が多い中、スムーズな審査で複数口座を開設できるネット銀行が狙われた可能性がある。現行制度では開設数に上限はなく、金融機関を監督する金融庁は複数口座開設について「一律に否定はできない」としている。
府警によると、同グループはペーパーカンパニー約500法人を設立し、約4000口座を管理していたという。
関係者によると、府警はうち1300口座について凍結を順次要請しているが、ネット銀行が半数以上を占めていた。中でも、1法人で20口座まで作れるサービスがあり、審査も即日開設などスムーズさを売りにしている特定のネット銀行の口座が多かった。
このネット銀行は取材に対し、「代表口座一つにつき19口座まで追加で申し込める」と説明。「支社や部署単位の利用や、売り上げ入金と経費支払いの口座を分別するなど、各社のニーズで利用されている」とした。なりすましや書類偽造が無い場合は、不正目的の開設を発見しづらいが、モニタリングなどの対策を実施しているという。
金融庁によると、口座の開設数に上限規制はないが、1法人1口座に限定している金融機関が多いという。同庁は「企業がビジネスごとに資金管理しやすい面があり、一律に否定はできない」と指摘。「犯罪に使われるリスクもあるので、モニタリングで利用状況によって取引をやめたり、口座凍結したりするよう金融機関に求めている」とするにとどめた。
[時事通信社]
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