中ロ、勢力圏でせめぎ合い=「蜜月」演出の裏で
【北京時事】中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領の対面での会談は、1カ月半あまりで2回目。ともに対抗する米国をにらみ、両国の「蜜月」を演出する狙いだ。結束を誇る中ロだが、その裏では勢力圏を巡るせめぎ合いも発生している。
「困難な国際情勢の中、同志愛と隣人愛の絆を強化し続ける」。6月に北朝鮮を訪問したプーチン氏は、金正恩朝鮮労働党総書記にこう語り掛け、ロ朝の友好を強調した。両氏は新条約に署名し、正恩氏は東西冷戦時代の「軍事同盟」復活を宣言した。
こうした動きに心穏やかでないのが、北朝鮮の後ろ盾を長年務めてきた中国だ。ロ朝接近で、中国の北朝鮮に対する影響力が相対的に低下する可能性がある上に、ロシアからの技術移転で北朝鮮の軍事力が向上すれば、朝鮮半島情勢の不安定化も予想される。そうなれば、韓国に基地を持つ米軍の東アジアにおけるプレゼンス強化につながりかねない。
一方で中国は、ロシアの「裏庭」と呼ばれる中央アジアで存在感を高めている。習政権は昨年、同地域の5カ国首脳を中国に招き、「ロシア抜き」で経済や安全保障協力について話し合う会議を開催。今年6月には、中国とキルギス、ウズベキスタンを結ぶ鉄道建設事業に関する政府間協定の調印式が北京で行われた。
欧州・中国間の貨物輸送路の大幅短縮につながる同事業は、既に構想から30年近くが経過。遅延の一因は、中国の地政学的影響力の増大を警戒するロシアの反対だったとされる。プーチン氏は現在、計画を容認する姿勢を示しており、キルギスでは年内の着工を見込む。
中ロ関係に詳しい北京の識者は、ウクライナ侵攻で国際的に孤立するロシアが「多くの政策で中国に譲歩せざるを得ない状況だ」と分析。「(プーチン氏は)内心、快く思っていないだろう」と指摘した。
2日に中央アジア歴訪を開始した習氏は、カザフスタンで上海協力機構(SCO)首脳会議に出席した後、タジキスタンを訪問する。各国首脳と会談し、関係強化を表明する見通しだ。
[時事通信社]
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