国の姿勢、痛烈に批判=「同意」手術も強制と認定―最高裁大法廷・強制不妊
最高裁大法廷は判決で、戦後半世紀近くにわたり、暴力的な不妊手術を可能とする旧優生保護法を存続させてきた国を痛烈に批判した。「同意」があった手術についても、実質的には強制だったと認定した。
旧厚生省は1953年、手術の実施に当たり「身体の拘束や麻酔薬の使用、だますことも許される場合がある」などとする通知を都道府県に出した。大法廷は、国のこうした姿勢が多くの被害者を生んだと批判し、責任の重さを強調した。
国が同法を96年に母体保護法に改正した後も、過去の不妊手術を適法としていたことに触れ、障害のある原告らが早期に訴訟を起こすことは困難だったとした。
国会が補償措置を期待されながら積極的に取り組まず、手術を適法とする態度を改めなかったことも問題視。現在の救済法についても、賠償責任を前提としない不十分なものだと指摘した。
判決は、国の求めに応じて手術への「同意」が示されたケースにも言及。国が障害者は「不良」という前提で不妊手術を受けさせようとしたとし、「同意を求めること自体が個人の尊厳と人格尊重の精神に反して許されない」と断じた。
さらに「周囲からの圧力によって本人がその真意に反して同意せざるを得ない事態も容易に想定される」として、同意を得て行われた手術も実質的には強制だったと結論付けた。
[時事通信社]
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