2号機踏襲、実績重ねる=商用化に向け布石も―H3・3号機
初の実用衛星打ち上げに成功したH3ロケット3号機は、今年2月に初成功した2号機と機体構成などを踏襲し、成功の実績を重ねた。
H3は、衛星打ち上げビジネスへの参入を視野に、積み荷となる衛星の大きさに応じ、第1段の液体燃料エンジン「LE―9」や固体燃料補助ロケット(SRB)の数などにバリエーションがある。
当初の計画では、1号機でLE―9とSRB各2基の構成を試した後、2号機ではLE―9のみ3基で「だいち4号」を打ち上げるはずだった。しかし、1号機が昨年2月、第2段エンジンのトラブルで失敗したため、構成を変更。第2段に再発防止対策を講じた上で、1号機と同じ構成でダミー衛星を打ち上げた。
1、2号機に付いていた「試験機」の名称が取れ、通常運用の段階に入った3号機は、改めてだいち4号を搭載することになったが、当初計画のLE―9のみの形態にせず、1、2号機と同様の構成にして確実性を優先した。
一方、将来に向けた布石もある。LE―9は飛行中に出力調整が可能で、推力を絞って衛星に加わる加速度を弱めることができる。衛星の「乗り心地」は受注競争でも有利に働くため、3号機では第1段燃焼終了前の20秒間、出力を約66%に絞って機能を実証した。
この機能は、「H2Aの半額」というH3の価格目標を実現する、LE―9のみの打ち上げにも必須。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有田誠プロジェクトマネジャーは「(次の段階に向けて)大きなステップになった」と話した。
[時事通信社]
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