ロシアが「盗んだ」穀物、最大6800億円=農地の地雷除去に数十年―ウクライナ高官
【キーウ時事】ロシアの侵攻が続くウクライナのビソツキー農業食料相代行(第1次官)は29日までにインタビューに応じ、ロシアが占領地から「盗んだ」穀物が最大42億5000万ドル(約6800億円)規模に上ると明らかにした。また、農地に敷設された地雷除去に「数十年かかる」と述べ、除去技術を持つ日本の協力に強い期待感を示した。
ビソツキー氏によると、ロシア軍が支配している東・南部の耕作地はウクライナ全体の19%に当たる620万ヘクタール。「衛星写真では極めて正確に(穀物の)収穫量が把握できる」といい、2022年2月のロシアによる侵攻以降、「最大で計1700万トンが盗まれた」と明言した。
ウクライナは世界有数の小麦やトウモロコシの生産国。ロシア軍は奪った穀物などを「ロシア産」としてアフリカや中東などに輸出しているとされる。ビソツキー氏は、過去2年の穀物平均価格を1トン当たり250ドルとして損害額を算定した。農産物はウクライナの輸出額の約6割を占めており、主要な輸出ルートである黒海航路の安全確保も世界の食料安全保障の観点から重要だと話した。
一方、農家を悩ませているのが畑に散らばる地雷だ。多くの犠牲者や農業機械の被害を出している。ウクライナ政府によると、地雷が埋まっている恐れがあるのは国土の約3割に当たる1740万ヘクタール。今年、除去が計画されている農地は51万2000ヘクタールと、東京23区の8倍強という。ビソツキー氏は、一部では大量に敷設され、除去は極めて困難だと憂慮した。
日本政府は国際協力機構(JICA)を通じた地雷除去支援を行っており、大型除去機が来月にウクライナ側に引き渡される予定。ビソツキー氏は「日本の(地雷除去に関する)経験は極めて貴重でウクライナに必要だ」と強調した。
また、鳥インフルエンザ発生により日本が禁輸しているウクライナ産鶏肉について、日本政府にこのほど措置の解除を求める正式な書簡を送付したと説明。早期の輸入解禁を訴えた。
[時事通信社]
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