イースター島の人口、最大4000人=米学者が「数万人説」に異論
【サンパウロ時事】多数のモアイ像が残るイースター島が、かつて数万人の人口を抱えていたという通説に異論―。南米チリ沖の南太平洋に浮かぶ孤島は、欧州人が1722年に到着するまで「最大4000人が持続可能な生活を送っていた」とする論文が24日までに公表された。人工知能(AI)を駆使して当時の農地面積を特定。今なお多くの謎に包まれた島の歴史の解明に一役買う可能性がある。
論文は、米コロンビア大学のディラン・デービス博士らが執筆した。南米大陸から約3700キロ離れ、世界遺産に登録されているイースター島には1200年ごろにポリネシア人が移住してきたとされ、約1000体の巨大なモアイ像が建造された。1体の重量は最大70トン。多くの人手を必要とすることから、欧州人が到着する前の島には数万人が住んでいたという説が有力で、食料生産が人口を支え切れなくなって島社会が崩壊したとされる。
調査では、地表の岩石に残された手掛かりや、衛星画像データのAI解析で農地利用されていた土地を特定。164平方キロの島の農地はわずか0.76平方キロで、約2000人分の食料を供給していたと導き出した。火山島で土地は痩せているが、岩石に含まれるミネラルを養分として利用し、生産性を高めていたという。
島周辺での漁業も考慮すると、最大約4000人の食料を賄える規模。デービス氏は「これまでの人口推計値がとても大きかった可能性が高い」と結論付けた。
[時事通信社]
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