マフチフ、ウクライナに光を=勇敢に舞う世界女王―陸上女子・パリの灯は近く
陸上女子走り高跳びで昨夏の世界選手権を制したヤロスラワ・マフチフは、ウクライナ国旗と同じ青と黄色のアイメークを施し、試合に臨むのがルーティンだ。ロシアの侵攻を受ける母国の代表として国際舞台で活躍し、故郷の惨状を世界に発信することが使命だと胸に刻む。「国民全員が自由のために戦っている」
2022年2月24日の未明。激しい爆撃音で目を覚ました。戦火を逃れてベオグラードに向かい、同年3月の世界室内選手権で2メートル02を記録して優勝。その後も欧州各国を転々としながら練習を続けてきた。
家族と離れて競技する意味を自問自答した時期もあった。国民に勇気や希望を届け、「戦争は終わっていない。ウクライナが戦い続けていることを示す」。22歳は計り知れない重圧を背負う。悲惨なニュースを目にするたびに心が痛む。父親は今もウクライナ東部ドニプロの自宅で暮らしており、不安は尽きない。
初の五輪となった21年東京大会は銅メダル。1月に室内でマークした2メートル04は今年の世界最高記録だ。今月の欧州選手権では2連覇を達成。安定して2メートル以上を成功し、助走の改良も順調な様子だ。
「五輪で最高のパフォーマンスを見せたい。東京よりも良い結果を出したい」。金メダル候補は母国に光を照らすため、パリで勇敢に宙を舞う。 (ロンドン時事)
[時事通信社]
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