あえて「濃さ」追求、白ボトルも=ペット緑茶刷新、背景に危機感―飲料大手
清涼飲料市場で最大シェアを誇る日本茶飲料を巡り、大手飲料メーカーが「濃さ」や「甘さ」、容器のデザインなどあの手この手で差別化を図っている。背景にあるのは「売り上げの基盤」(担当者)であるペットボトル緑茶市場の地殻変動。節約志向で低価格のプライベートブランド(PB)の需要が伸びる中、各社は大幅刷新で付加価値をアピールする。
飲料総研の調査では、大手5社の主力商品の2023年の販売数量は22年比で約1~7%減少。順調に伸びてきた市場に頭打ちの兆しが見える。調査会社インテージによると「価格優位性のあるPBが伸び、各社のブランドが押されている」(アナリスト)状況。緑茶飲料に占めるPBの購入額シェアは、この10年間で8.5%から12.4%に拡大しているという。
「どれも同じような味わいであれば、値頃感のあるPBを手にする人が増える」。大手の危機感は強く、売り上げの中核を成す「フラッグシップブランド」の刷新を決断した格好だ。
猛暑の影響か近年はすっきりした後味が好まれる傾向があるが、サントリー食品インターナショナルは「伊右衛門」の茶葉の量を1.5倍、うま味のある抹茶の量を3倍に増量。お茶らしさを追求し「濃い味わいに大刷新」(担当者)した。一方、キリンビバレッジの「生茶」は苦味や渋味を抑え、甘味を際立たせる戦略。ボトルの色も定番の緑から白に一新し、イメージチェンジを図る。
12年ぶりの新ブランドとしてアサヒ飲料が23年に発売した「颯」は、微発酵させた茶葉を使った「華やかな香り」で勝負。SNS上の「全然緑茶ちゃうやんw」といった声をあえて紹介するなど賛否両論をアピールした戦略が当たり、24年は前年からほぼ倍増の約2億本という強気の販売目標を立てた。
日本コカ・コーラの「綾鷹」は茶葉の選定を一から見直し「うま味」を強める一方、価格据え置きで内容量を約1.2倍にした。圧倒的シェアの伊藤園「お~いお茶」も23年は苦戦。米大リーグの大谷翔平選手起用の大型広告を国内外で展開してこ入れを図る。
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