2024-06-22 14:48社会

「日英の友好深めて」=新世代の交流に期待―恵子ホームズさん

第2次大戦中に旧日本軍の捕虜となった元英兵らの「心の癒やし」に長年取り組んできた恵子ホームズさん=5月31日、ロンドン郊外

 【ロンドン時事】「日英の友好をさらに深めてほしい」。第2次大戦中に旧日本軍の捕虜となった元英兵らの「心の癒やし」に長年取り組んできた英国在住の恵子ホームズさん(76)は、天皇、皇后両陛下が訪英されるのを心待ちにしている。日本の皇室、英国の王室ともに代替わりし、新たな世代の交流によって両国の絆が強まることに期待を寄せる。
 東南アジアで鉄道建設などの過酷な労働を強いられ、戦後も日本への恨みや憎しみを募らせていた元捕虜らと触れ合い、日英の和解に尽力してきた。数年来の地道な活動が実を結び、1992年に元捕虜やその家族を日本に招待する取り組みを開始。これまでに延べ500人以上が参加した。
 ただ、活動を始めた当初は、戦争経験者を中心に日本へのわだかまりが色濃く残っていた。戦後50年を迎えた95年には、英国内で日本の戦争犯罪を取り上げた報道があふれ、対日感情が悪化。98年の上皇ご夫妻の訪英時には、お二人が乗った馬車に背を向けたり、日本の国旗を燃やしたりするなどの抗議活動も起きた。
 「そのような出来事があったにもかかわらず、陛下(上皇さま)は晩さん会で『(元捕虜ら)イギリスのお年寄りを大切にし、お世話してくれてありがとう』と優しい言葉を掛けてくださった」とホームズさん。「重い責任を背負われ、陛下ご自身も苦しい思いをされていたと思う」と振り返る。在位中最後となった2012年の訪英時には、上皇さまから「今回はスムーズだった。これもあなたたちの活動があったからですね」とねぎらわれたという。
 地道な草の根活動に取り組んできたホームズさんだが、「皇室や王室の方々の交流には、国と国を結ぶという大切な役割がある」と語る。英国への留学経験があり、英語を巧みに話す両陛下の訪英をきっかけに「日英関係がますます良くなっていってほしい」と願う。ホームズさん自身の活動に関心を持つ若者も増えているといい、両国の新たな世代にかける期待は大きい。 
[時事通信社]

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