具体的混乱、想定し難く=「女性で父親」巡り補足意見―認知訴訟判決で尾島裁判長
最高裁第2小法廷の尾島明裁判長は21日の判決で、女性に性別変更しても子との関係上は父親と認定した理由について、「(父子関係を認めた場合に)想定される家族秩序の混乱は、具体的なものとは言い難い」との補足意見を述べた。
性同一性障害特例法は2008年の改正で、性別変更の要件がそれ以前の「子がいない」から「未成年の子がいない」に緩和された。改正により、成人の子の親は性別変更によって「女性である法律上の父」や「男性である法律上の母」となることが可能となった。
その影響について、尾島裁判長は「社会的な混乱が生じたような状況はうかがわれない」とし、未成年の子の親が性別変更した場合も具体的な混乱は想定し難いとの見解を示した。
三浦守裁判官も補足意見を述べた。生殖補助医療の技術発展や利用拡大が進む中、「さまざまな議論があり、法整備に一定の時間を要することもやむを得ない面がある」と指摘。その上で、「既に現実が先行しており、現行法の適切な解釈に基づく判断によって解決することは裁判所の責務だ」と強調した。
[時事通信社]
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