岸田首相、対中警戒維持狙う=「広島」成果反映にも力点―G7サミット
【ファサーノ時事】岸田文雄首相はイタリア南部プーリア州で開幕した先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、インド太平洋地域で威圧的行動を繰り返す中国への警戒を呼び掛ける考えだ。首相のサミット出席は3回目で、議長を務めた昨年のG7広島サミットの成果を首脳共同声明に反映させることを目指す。
サミットは14日に「インド太平洋」をテーマにした討議を行う。首相は台湾周辺での軍事的威圧や東・南シナ海への海洋進出を強める中国の動向を踏まえ、ロシアのウクライナ侵攻以来強調してきた「ウクライナはあすの東アジアかもしれない」との危機感を訴える。
首相には、ウクライナに加え、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く中東情勢の余波で、中国に対するG7の関心が低下することへの危惧がある。外務省幹部は「アジアで唯一のメンバーとして問題意識を共有したい」と語る。
G7首脳のうち、ドイツのショルツ首相は4月に中国を訪問。5月には中国の習近平国家主席がフランスを訪れてマクロン大統領と会談した。経済関係をてこにG7にくさびを打ち込もうとする中国の揺さぶりに、岸田首相は神経をとがらせる。
G7首脳は広島サミットで、経済面でも中国をにらみ、経済安全保障に特化した個別声明をまとめた。政府関係者は「昨年、議長国として進めた経済安保、人工知能(AI)への取り組みを深化させたい」と意欲を示す。
議長を務めるメローニ伊首相は重要テーマの一つにAIを掲げている。岸田首相は国際ルールづくりに向けて昨年のサミットで打ち出した「広島AIプロセス」の継承を呼び掛ける。
欧州が直面する移民問題を背景に、メローニ首相はアフリカにも焦点を当てる意向だ。岸田首相は新興・途上国「グローバルサウス」への関与の重要性を踏まえ、アフリカ開発会議(TICAD)を主催する日本の取り組みを紹介し、持続可能な開発の必要性を訴えた。
[時事通信社]
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