ウクライナ難民と同じ=85年前の子供救出再現―映画「ONE LIFE」監督
第2次大戦前夜の1939年、プラハからユダヤ人を中心に難民の子供たちを救った英国の慈善活動家ニコラス・ウィントン(1909~2015年)を描いた英映画「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」が21日から日本で公開される。ジェームズ・ホーズ監督は11日、英国とつないだオンライン取材で、現代のウクライナからの避難民と重ね合わせ「この話を今、紹介する意義を強く意識して撮影に入った」と振り返った。
38年、ナチス・ドイツが当時のチェコスロバキア西部ズデーテン地方を占領し、避難民が首都プラハに押し寄せた。惨状を目にしたウィントンらの支援団体が子供だけでも英国に疎開させようと奮闘し、列車での大量移送を敢行する。しかし、669人の救出を終えたところで39年9月の第2次大戦開戦を迎え、打ち切られた。ウィントンと子供たちが50年後に再会するまでの実話を映画は再現した。
監督は「撮影直前に訪れたプラハの駅で、警官が多いと思ったら子供の泣き声や大声が聞こえ、大勢のウクライナ難民が到着する姿を目の当たりにした。強く心に刻んだ」と語った。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ攻撃にも触れ「ユダヤ人に限らず、すべての子供がこれから生きる権利を持っている。このウィントンの精神を絶えず思い起こしている」と強調した。
669人を救ったが、映画の題名は「ONE LIFE(一つの命)」。劇中で言及される「一つの命を救うことが世界を救う」と教えるヘブライ語の格言から取った。プラハから英国へ、大量疎開は不可能と当時も言われながら「まず何が自分にできるか、そこから始めればいい」と考えて行動に移したウィントンの哲学を象徴している。
[時事通信社]
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