スター・ウォーズが現実に?=ロシア、対衛星兵器打ち上げか
【ワシントン時事】宇宙を舞台にした戦争を描いた人気SF映画シリーズ「スター・ウォーズ」が現実になる可能性に懸念が広がっている。米政府は、ロシアが他国の人工衛星を破壊するための衛星を16日に打ち上げ、米政府の衛星などと同じ地球の低軌道に投入したと公表した。
同時に、ロシアが核兵器を搭載する新たな衛星の開発を進めているとも非難した。今回の衛星に核兵器が搭載されているかは言及していないが、国防総省のライダー報道官は21日の記者会見で「監視を続ける」と表明した。
米国は2月ごろからロシアの「対衛星核兵器」の開発に懸念を示し始めた。しかし、国連安保理では4月、日米が宇宙空間への核兵器配備禁止を再確認する決議案を提出したが、ロシアがこれに拒否権を行使。今月20日にはロシアが宇宙空間にいかなる兵器も配備しないよう求める決議案を提出したが、日米などの反対で否決された。
米国と旧ソ連の激しい宇宙開発競争を受け、1967年発効の宇宙条約は宇宙空間の平和利用を定め、核を含む大量破壊兵器の配備を禁止した。米ロともにこれを批准している。
しかし、宇宙空間は既に地球上での戦争に不可欠だ。衛星は情報収集やミサイルの誘導、弾道ミサイルの早期探知、部隊間の通信などに利用されている。ロシアのウクライナ侵攻でもウクライナ軍が活用し、ロシア軍も妨害電波などで対抗しているとされる。
米宇宙軍のゲトライン宇宙作戦副部長は今月21日の議会公聴会で「宇宙はわが国の安全保障にとってかつてないほど重要だ」と強調する一方、ロシアと中国が「米国との差を縮め、宇宙の支配権を主張しようと懸命に努力している」と指摘した。ロシアは2019年と22年にも対衛星兵器を打ち上げたとされ、中国も近年対衛星兵器の開発を進めているという。
もし宇宙で核爆発が起これば、軍事だけでなく商用衛星も打撃を受ける。全地球測位システム(GPS)や携帯電話、農業や漁業など、一般市民の日常生活にも多大な影響を及ぼす可能性がある。
[時事通信社]
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