2024-04-30 14:44政治

日中改善の動き足踏み=要人往来なし、処理水解決見えず

 日中関係改善の動きが足踏みしている。昨年8月の東京電力福島第1原発の処理水放出で悪化した関係の正常化に向け、昨年11月の日中首脳会談では対話を重ねていくことで一致。ただ、処理水に関する専門家協議では解決の糸口はつかめず、日中要人の往来もない。岸田文雄首相は今年中に首脳会談を再び実施し、局面の打開を図りたい考えだ。
 首相は4月19日の参院本会議で「首脳同士を含むあらゆるレベルでの意思疎通を重ね、戦略的互恵関係を包括的に推進する」と述べ、習近平国家主席との会談に意欲を示した。
 最大の懸案は、中国が日本産水産物の全面禁輸に踏み切った処理水問題だ。昨年11月、米サンフランシスコで行われた首相と習氏の首脳会談で、話し合いを通じて解決を図ることで一致。これを受けた日中の専門家協議が今年1月にオンライン形式で、3月には中国の遼寧省大連市でそれぞれ行われたが、日本側が求める禁輸解除に中国側は応じていない。
 首相周辺は「中国経済が厳しく、日本からの投資を促すため『ほほ笑み外交』のフェーズに入りつつある」と分析。政府関係者は「中国側も交渉のテーブルに着くようになったが、解決策が見えているわけではない」とし、禁輸解除は見通せていない。
 日中首脳は閣僚級のハイレベル経済対話を「適切な時期」に開催することで合意しているが、めどは立っていない。昨年11月に韓国・釜山で実施した日中外相会談では外相の相互訪問を検討することでも一致したが、その調整もついていない。
 外務省幹部は「日中関係を動かすには、トップに働き掛けるしかない」と指摘した。5月下旬に韓国・ソウルでの開催が調整される日中韓首脳会談に合わせた岸田首相と李強首相との会談を模索。その上で習氏が出席する予定の11月のブラジルでの20カ国・地域首脳会議(G20サミット)などの機会を捉えた首脳会談を目指している。 
[時事通信社]

最新ニュース

写真特集

最新動画