2024-09-05 19:35

福永、狙い通りの銀=混成競技からパラ陸上へ転向〔パラリンピック〕

男子400メートル(視覚障害T13)で銀メダルを獲得した福永凌太=5日、サンドニ(ロイター時事)
男子400メートル(視覚障害T13)で銀メダルを獲得した福永凌太=5日、サンドニ(ロイター時事)
 福永はレース後、持てる力を発揮できた充実感があった。陸上男子400メートル(視覚障害T13)で、狙い通り表彰台を確保して銀メダル。「本当に素直に楽しめた」。会場の大歓声、珍しい紫色のトラックなど初の大舞台を堪能した。
 優勝した46秒44の世界記録を持つアルジェリア選手との実力差は、レース前から受け止めていた。激しい雨が降る悪条件下、自身の走りに集中。48秒07は自己記録に0秒28届かず、「最低ライン」と言った。
 「錐体ジストロフィー」という病気により、10歳から視力が低下。中京大では混成の十種競技を専門に健常者のトップ選手と競った。大学限りで競技に区切りをつけるつもりだったが、家族の勧めでパラ陸上に転向。昨年の世界選手権を制し、台頭した。「障害者だと全く思っていなかったが、だんだんと認識した。(周囲に)そういう認識を持ってもらうことが、生きやすさにつながった」
 優勝者との差は0秒64。「思ったより近かった。もっとしっかり準備できていたら、勝った未来もあったのかな」。まだ25歳。この悔しさが成長の原動力となる。