2024-09-03 12:47

両腕ない名手、有終の美=スタッツマンが悲願の金―アーチェリー〔パラリンピック〕

アーチェリー男子コンパウンドのランキングラウンドで的を狙う米国のマット・スタッツマン=8月29日、パリ(AFP時事)
アーチェリー男子コンパウンドのランキングラウンドで的を狙う米国のマット・スタッツマン=8月29日、パリ(AFP時事)
 パリ・パラリンピックのアーチェリー男子コンパウンド個人(車いす、立位など)で1日、生まれつき両腕がなく、両足を巧みに使って弓を射る名手が有終の美を飾った。4度目の大舞台で初めて金メダルを獲得したマット・スタッツマン(米国)。今大会で現役を退く意向の41歳は「感慨もひとしお。金は予想していなかった。これ以上の脚本はない」としみじみ語った。
 中国選手との顔合わせとなった決勝は第2エンドを終えて1点のリードを許したが、第4エンドで逆転。最後も10点を出して悲願をかなえ、椅子から跳び上がって喜んだ。149―147でハイレベルな争いを制した。
 幼い頃から足を使って食事など日常生活をこなしてきた。車も運転できる。28歳で競技を始め、2012年ロンドン大会で銀メダルを手にした。今回は1回戦で同様に腕がないメキシコ選手と対戦。自身に刺激を与えた次世代の選手が育ってきた。
 選手としてのキャリアが幕を閉じる。「悲しくはない。この伝統を受け継ぐ素晴らしい腕のない射手がいるから。今度は彼らが輝く番だ」。後進に希望を与える存在になれたことが、何よりも誇らしかった。