2024-09-03 12:47

川上、地力の差感じた銅=目標は健常者とのレース―陸上〔パラリンピック〕

男子100メートル(視覚障害T13)決勝で力走する川上秀太(中央)=1日、サンドニ
男子100メートル(視覚障害T13)決勝で力走する川上秀太(中央)=1日、サンドニ
 パリ・パラリンピックの陸上男子100メートル(視覚障害T13)で1日、川上秀太(アスピカ)が10秒80をマークし銅メダルを獲得した。喜びは控えめ。「ずっと金を、と自分に言い聞かせてきたので、かなり悔しい」と唇をかんだ。
 求める走りはできたが、10秒80だった予選からタイムを縮められなかった。ライバルのアルジェリア選手は目の前で大会記録を樹立。「まだまだ地力の差がある」と痛感した。
 小学3年生の時に交通事故に遭い、その後遺症で視力が低下した。中学から陸上を始め、大学までは健常者の大会に出場してきた。日本のパラ選手では、100メートルを10秒台で走れる選手はごくわずか。今年の世界選手権では2位に入り世界で戦える実力を示した。
 普段は地元福井県の会社で、営業職としてフルタイムで働きながら練習に励む。本番が近づいてくると午前中のみの勤務に変更してもらったという。「僕がこうしたいって言ったら、いいよとすぐに言ってくれるような会社。恵まれた環境にいる」と周囲のサポートに感謝する。
 川上が待ち望むのは、健常者のトップ選手と肩を並べてレースをする機会。日本選手権出場に必要な資格記録(今年の場合は10秒34)を出すことが現在の目標だ。このタイムが出せれば、次回のパラリンピックでの金メダルも夢ではない。「もっともっと健常者とパラの陸上選手が交流して、よりお互いを高め合える環境が整っていけたら」と青写真を描いた。
男子100メートル(視覚障害T13)で銅メダルを獲得した川上秀太=1日、サンドニ
男子100メートル(視覚障害T13)で銅メダルを獲得した川上秀太=1日、サンドニ