2024-09-01 15:02

観客の熱気、パラで再び=「配慮」の静寂、一体感も〔パラリンピック〕

競技中の選手に拍手を送る観客=8月30日、サンドニ
競技中の選手に拍手を送る観客=8月30日、サンドニ
 パリ・パラリンピックの会場は多くの観衆でにぎわい、五輪と変わらぬ熱気が生まれている。観客は、静寂が求められる競技では声を出さずに見守り、選手への配慮や敬意がうかがえる。チケットの販売枚数は増え続けて210万枚を超え、2012年ロンドン大会に次ぐ史上2番目となった。
 名所の会場は特に人気で、五輪同様にテコンドーが行われたグラン・パレは午前中から大勢の観客で沸いた。鳴り物の応援が響き、地元フランス選手にはひときわ大声援が飛ぶ。競泳会場では、競技初日の午前と午後のセッションにそれぞれ約1万3000人が詰め掛け、選手を後押しした。
 東京大会は新型コロナウイルスの影響で原則無観客だったため、選手の喜びも大きい。競泳男子の富田宇宙(EY Japan)は「観客は楽しんで、選手側も盛り上げたい思いが見える。スポーツのお祭りをみんなで楽しむ文化が欧州にあると思った」。車いすテニス男子のレジェンド、国枝慎吾さんは自身のSNSで「パリの盛り上がりが想像の100倍。すごすぎる」と感嘆した。
 鈴が入ったボールを投げ合うゴールボールは、静かに観戦しなければならない。観客はマナーを守った上で、得点時やプレーが中断した際に拍手や声援を送った。陸上で視覚障害クラスの走り幅跳びでも、踏み切り位置を伝える「コーラー」の声が選手に聞こえるよう静寂の中で見詰めた。
 香港の映画俳優ジャッキー・チェンさんら著名人も現地で観戦。「共生社会の実現」を掲げる大舞台は、選手と観客の一体感がある温かい雰囲気も広がっている。