2024-09-01 07:12

可能性求め続けた杉浦=観客に伝えたメッセージ―自転車〔パラリンピック〕

 女子500メートルタイムトライアル(運動機能障害C1〜3)で、杉浦はわずかの差で決勝進出を逃した。「本当に残念。ここ半年で他国の選手がすごく伸びている」。前回大会で自身がマークしたパラリンピック記録より速いタイムを出しても及ばなかった。
 2016年に自転車レースで転倒。頭蓋骨などを折る重傷を負った。一命は取り留めたが、高次脳機能障害などが残った。そこからパラ競技で再起し、50歳で臨んだ東京大会でロード2冠。日本勢で最年長金メダリストとなった。それでも向上心は尽きず、53歳で臨むパリではトラック種目も、との思いでスピード強化に励んだ。結果こそ出なかったが、常に可能性を求め続けた。
 無観客だった東京と会場の雰囲気は一変した。主催者は今大会を共生社会実現への重要な機会と捉えており、開幕後初の週末とあって多くの観客が訪れた。「いろんな方に見ていただけた。努力と工夫で何とでもなるという希望を持っていただければ」。そんなメッセージもあった。
 今後はロードで2種目に出場する。「ここからの恩返しの仕方は、いろいろな方法がある」。支えてくれた周囲の人々のためにも、得意の舞台でのメダルは譲れない。