2024-08-31 12:25

パラ選手支える「縁の下の力持ち」=メダル獲得140個以上―競技用車いす製造会社・千葉〔パラリンピック〕

自社の競技用車いすを前に取材に応じるオーエックスエンジニアリングの山口高司社長=8月7日、千葉市
自社の競技用車いすを前に取材に応じるオーエックスエンジニアリングの山口高司社長=8月7日、千葉市
 世界で活躍するパラアスリートたちを支え続けている会社がある。車いすの開発や製造を手掛ける「オーエックスエンジニアリング」(千葉市)だ。同社製の車いすを使った国内外の選手がこれまでに獲得したメダルの数は140個以上。山口高司社長(55)は「われわれは選手たちが活躍できるようお手伝いする『縁の下の力持ち』」と語る。
 同社は1988年設立。もともとはオートバイのエンジンや部品などを開発する会社だったが、95年に車いす事業に業種転換した。本社敷地内には、競技用車いすなどを製造する工場も構える。山口社長は「ものづくりはトライアンドエラー(試行錯誤)の繰り返し。ものを開発する手法や考え方は、オートバイのエンジン開発をしていた時代から培ってきた」と力を込める。
 日常用車いすの販売開始から約1年後には、競技用車いすの販売もスタート。テニスやバスケットボール、レースなどに使う車いすの開発・製造を進めてきた。
 競技用車いすの開発では、サポートする選手の同意を得た上で、新素材やさまざまな加工方法を試すという。山口社長は「競技用で蓄積したノウハウを活用することで、日常用の利用者にもより使いやすい車いすを提供できる」と利点を話す。
 パラリンピックでは、96年のアトランタ大会から2021年の東京大会までに、同社製車いすで出場した選手らが夏冬合わせて140個以上のメダルを獲得した。選手たちにとって不可欠の存在だが、山口社長は「選手が少しでも活躍できるためのお手伝いをしているだけ」と控えめだ。「苦しい練習を乗り越えて選手たちはパラリンピックに臨んでいる。良い結果となればわれわれもうれしい」とパリ大会での活躍に期待を込めた。