2024-08-12 06:49

「選手は幸せ」=重量挙げ、三宅宏実さん―パリ五輪・リレーコラム〔五輪〕

重量挙げ元日本代表の三宅宏実さん=10日、パリ市内
重量挙げ元日本代表の三宅宏実さん=10日、パリ市内
 初めて五輪をゆっくり見ました。柔道女子48キロ級の角田(夏実)選手にはじまり、選手の背景とかを知りながら見ると感動が倍増する。心を動かされて、スポーツっていいなって思います。
 今回は久しぶりに本来の五輪らしい大会だと思います。リオデジャネイロ五輪は世界から応援に来る人が少なくて空席があり、東京五輪は無観客だった。世界中から集まった人で会場が満員で、五輪のムードがある。
 なおかつすごいのは、負けても勝っても全選手を応援してくれること。場内の盛り上がりがすごくて、ここで試合ができる選手は幸せだなって、私も興奮しました。歴史的建造物や、エッフェル塔の前で競技ができるなんてことも絶対ない。モチベーションが上がる体験だと思います。
 重量挙げ男子73キロ級で6位だった宮本(昌典)選手との出会いは小学生の時。当時から上手な子だなと思っていました。メダルを取ってほしかったですが、最後まで諦めずに勝負して、頑張ったなと思います。
 4年に1回、一日しかない五輪は、ピーキングがすごく難しい。そのためには4年間の使い方が重要で、重量挙げの場合、2年前にはもう戦える力をつくっておかないといけない。最後の1年は調整です。指導者との信頼関係も大事。父(三宅義行さん)は優勝記録を当てるんです。他の選手の記録を予言して、全てその通りになる。だから安心して戦えました。
 私もアテネ、北京と2度失敗していろんな教訓を得て、3度目でメダルが取れた。宮本選手も今回の経験から学んで、ロサンゼルスを目指していってほしいですね。

 三宅 宏実さん(みやけ・ひろみ)重量挙げ元日本代表。五輪には04年アテネ大会から5大会連続出場し、12年ロンドン大会銀、16年リオデジャネイロ大会銅メダル。21年東京五輪後に引退。現在は所属先のいちごでコーチ。埼玉県出身。