2024-08-10 07:08

「みんなに金メダル取らせたい」=スキージャンプ、原田雅彦さん―リレーコラム〔五輪〕

原田雅彦さん
原田雅彦さん
 競技がたくさん見られるのは、五輪のブランドのおかげ。どのスポーツも好き。サッカーも興奮して見たし、バスケットもバレーも。(団体球技で)日本はこれからチャンスが来ると思う。何十年も歴史を重ねて、全く歯が立たない時からメダルを狙うところまで来ているわけだよね。これから先、必ず達成できると思う。スキージャンプもそうなんだよ。マッチ・ニッカネン(フィンランド)の時代は日本人なんて絶対かなわないと思っていたもん。
 サッカーやバレーボールの選手が欧州で活躍している。そういうことで自信を付ける。先入観を取り除くためにわれわれも欧州に行った。欧州に行って、現地の人と付き合って文化を知って。こういうことだったのかと知る経験は競技への自信になるのだと思う。
 ゴルフで優勝した人(スコッティー・シェフラー=米国)、涙を流したでしょう。何億円も稼ぐ人たちが賞金ゼロでも涙を流す。国を背負ってやることに誇りを持っているというか。松山英樹選手も「日本の松山」と言われることにすごく感激するんじゃないか。普段あんなに笑わないでしょう。スポーツの祭典に日本代表として出ることがうれしいのかも。五輪の力? 確かにそうかもしれない。
 スキージャンプと似ているなと感じるのは、体操かな。「対相手」ではなくて、自分との闘い。ライバル同士が集まって団体戦をやる。団体戦では、この種目であいつは点数が低いよな、とか考えるでしょう。原田は不安だなとか、何が起こるか分からないといった読みがあると思う。柔道の団体でも、コーチが選手起用を相当悩んだと思う。
 これからという選手も、これが最後だという選手もいる。みんなに金メダルを取らせたい。私も個人戦は銅(が最高)で、駄目だった方だから。柔道の選手が涙を流すのもよく分かる。私なんて5度も五輪代表になって、なかなか取れなかった。難しいんだよ。

 ◇原田 雅彦さん(はらだ・まさひこ)日本オリンピック委員会理事。全日本スキー連盟副会長。スキージャンプで冬季五輪代表に5大会連続選出。94年リレハンメル大会の団体で銀メダル。98年長野大会は個人ラージヒルで銅、団体で金を獲得し、日本の五輪史上に残る名場面となった。北海道出身。56歳。