パリ五輪の開幕が迫る中、市中心部のチュイルリー公園に巨大な銀色の球体が出現した。この場所は大会期間中に聖火台が置かれる見込み。果たしてこれがそうなのだろうか。
　開会式はセーヌ川が舞台で、夏季大会では初めて競技場外で実施される。選手団は船に乗って約６キロほど川を下る船上パレードを行い、式典はエッフェル塔前のトロカデロ広場。銀色の球体が聖火台ならば、チュイルリー公園で点火するのか、あるいはトロカデロ広場でつけてから移送するのか。かつてない形での開会式だけに、予想もしない演出があるかもしれない。
　最終点火者の行方にも注目が集まる。柔道男子のテディ・リネールは候補の一人。１００キロ超級で３度目の五輪制覇を目指すフランスのスポーツ界の顔だ。出身は仏海外県のグアドループ。五輪でフランスが一つにまとまるというイメージに当てはまる。しかし、地元メディアには「最終走者はジダンと聞いた」と語っている。
　ジネディーヌ・ジダンさんといえばサッカー界の元スーパースター。アルジェリア移民の子で、自国開催の１９９８年ワールドカップで、フランスの初優勝に大きく貢献。当時のチームは多民族国家の象徴とも言われた。
　五輪の聖火はギリシャから船で運ばれ、５月中旬に仏南部の港町マルセイユに到着。国内でのリレーが始まった。この街はジダンさんの出身地。縁が深いはずの場所で、セレモニーやリレーにその姿がなく、まだ聖火ランナーを務めていない。
　その他の候補としてはロイター通信は、五輪で３個の金メダルを獲得した元陸上女子短距離のマリー・ジョゼペレクさんの他に、俳優のオマール・シーさん、宇宙飛行士のトマ・ペスケさんらの名前も挙げている。