2024-07-08 07:05

地元で譲れぬ金メダル=フランスの英雄リネール―柔道・トリコロールの旗手

 フランススポーツ界の英雄にとって、パリ五輪での金メダルは絶対に譲れない。柔道男子100キロ超級のテディ・リネール(35)は過去4度の五輪とは全く違う心境で大一番を迎える。「地元での開催でモチベーションが上がる。重圧はあるが、大きなことを成し遂げたい」と決意を口にする。
 最重量級の絶対王者として君臨し、五輪では2012年ロンドン、16年リオデジャネイロで金メダルを獲得した。しかし、20年2月に国際大会の連勝が154で止まると、21年東京五輪では3位。翌年の世界選手権をけがで欠場するなど、陰りが見えたかに思われた。
 それでも大目標が近づくにつれ、リネールは再び本来の姿を取り戻してきた。昨年の世界選手権では100キロ超級で9度目の優勝を果たした。今年に入ってからは五つの国際大会に出場して負け知らず。
 2月のグランドスラム(GS)パリ大会では場内に「テディ」のコールが起こる中で期待に応えたが、本調子ではなかったようで「物足りなさがある」と振り返った。そこから練習と実戦をバランス良く重ねながら、着実に調子を上げた。大一番へのピークの合わせ方も熟知している。
 畳の上では全盛期ほどの馬力はないものの、豊富な経験と試合運びのうまさを持ち合わせており、勝負どころは逃さない。ここ一番での強さも健在だ。
 もともと柔道熱の高いフランスでも、別格の人気を誇るリネール。男子100キロ超級は8月2日に行われる。「(地元の五輪は)人生で1度。目標は優勝すること」。注目を一身に集めるパリ五輪の顔は、3度目の頂点を見据えている。 (パリ時事)

〔写真説明〕柔道の国際大会男子100キロ超級決勝で組み合うリネール(右)と斉藤立=3月31日、トルコ・アンタルヤ(AFP時事)