2021-07-29 20:34

酷暑で「死ぬかも」=テニスなど影響、対応鈍く―東京五輪〔五輪〕

 コロナ禍での東京五輪は、酷暑にも見舞われる。都心では開会式前後から最高気温が34度を超えたこともあり、屋外競技の選手がもがく。テニスは競技6日目から開始が午後3時に繰り下がった。
 男子で世界ランキング2位のダニール・メドベージェフ(ROC)は当初から夕方の開始に変更するよう求め、世界1位で四大大会通算20勝のノバク・ジョコビッチ(セルビア)も同調していた。
 メドベージェフはフルセットの末に午後1時半すぎに試合を終えた28日に「横隔膜がふさがれたような感じがして、うまく呼吸できなかった。視界が暗くなった」と不調を訴えた。ロイター電によると、試合中に主審の呼び掛けに「試合は終えられても死ぬかもしれない」と応じた。
 会場の有明テニスの森公園は雨天時のセンターコート以外は屋根がなく、ハードコートの照り返しがきつい。異常気象指針が設けられ、暑さ指数(WBGT)が30.1度を超えると最終第3セットの前に10分間の休憩を取れる。1回戦で適用を受けたダニエル太郎(エイブル)は「なかったら、たぶん続けられなかった」と話した。
 他の屋外競技でも、アーチェリー女子のスベトラーナ・ゴンボエワ(ROC)が23日の競技後に熱中症の症状で倒れた。スケートボード男子ストリートのナイジャ・ヒューストン(米国)は「ボードが(暑さで)曲がる」と話した。
 酷暑は以前から分かっていた。大会組織委員会の高谷正哲スポークスパーソンは「厳しいコンディションになったことには心を痛める。(テニスの時間変更は)今の時点での一つのベストな選択」と言うが、対策は甘く、対応も鈍い。