2021-07-24 01:02

大坂選手、厳かに点火=ON、医療従事者から最終リレー―五輪開会式〔五輪〕

 日本全国をつないできた聖火は、女子テニスの大坂なおみ選手によって厳かに聖火台にともされた。
 深いテーマと凝った演出が恒例の開会式。ハイライトとなるのが聖火の最終点火だ。ハイチ出身の父と日本人の母を持ち、人種差別に抗議したり、精神的に落ち込む問題を抱えていた内面を打ち明けたりと、23歳の大坂選手は社会に問題を提起してきた。そして世界トップレベルの選手。役割を果たすには最適だった。
 点火への最終リレーは多彩な顔触れだった。トーチを手に国立競技場に姿を見せたのは、レスリング女子と柔道男子でそれぞれ五輪3連覇を誇る吉田沙保里さんと野村忠宏さん。次に登場したのがプロ野球の顔だったON砲。2004年アテネ五輪で日本代表監督も務めた長嶋茂雄さんと、巨人で通算868本塁打を記録した王貞治さん(ソフトバンク球団会長)の大スターが引き継いだ。
 長嶋さんの介添えには、巨人や米大リーグのヤンキースなどで活躍した教え子の松井秀喜さん。長嶋さんは笑みをたたえながら聖火をつなぎ、医療従事者や東京パラリンピック代表の土田和歌子選手、東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)の小中学生の手を経て大坂選手へと渡った。
 コロナとの闘い、震災からの復興、日本の誇り、そして大会理念の「多様性と調和」。それらを一つにまとめ上げた開会式のフィナーレだった。