2021-01-08 09:23

「ネガティブ」な反応懸念=五輪準備、仕上げのさなか―緊急事態宣言

 延期された東京五輪まで200日を切って、再び緊急事態宣言の発令となった。社会活動の制限は昨春より緩やかとはいえ、当面1カ月は続く「事態」の先は読めない。7月23日の開幕に向けた準備へ、影響は避けられそうもない。
 新型コロナウイルス対策は要の部分が定まっていない。観客数の上限や外国人観客の扱いは今春までに決めることになっており、大会開催時の医師や看護師、入院先の病院など医療体制の確保もめどが立たない。大会関係者は、事態の停滞も見据えて「現状のコロナ対策は机上のものにすぎない。3〜5月のテスト大会ができるのか」と懸念している。
 仮設工事を残す会場もある。3月下旬には聖火リレー出発を控え、沿道対策なども急がれる。ハード、ソフト両面で、春先までの数カ月が仕上げの時期。組織委幹部は、開幕までの日数を逆算して、「1カ月のロスは厳しい」と漏らした。
 今回の宣言では、イベントの制限が観客の人数にとどまった。五輪開催を念頭に、スポーツの大会を止めない狙いも見て取れる。五輪関係者は大会で感染者が出れば逆効果だとして「(制限が)手ぬるい。やることでマイナスになってしまうとまずい」と述べた。
 政府、国際オリンピック委員会(IOC)とも開催ありきの姿勢を崩していないが、海外にはこのタイミングの宣言発令がどう映るか。組織委幹部は「ネガティブに受け取られる。欧米のオリンピック委員会やスポーツ界の重鎮が『まずい』と言い出さないようにしなくては」と気をもんでいる。