2021-07-24 07:50

環境格差、メダル争いに影=日本は「地の利」大きく〔五輪〕

 東京五輪は新型コロナウイルスの影響を色濃く受け、各国の選手が置かれる環境の格差が目立つ大会となる。通常の大会なら過熱する「メダル獲得競争」に影を落としそうだ。
 五輪出場権を得る過程では、世界各地の予選が中止になって不公平感を指摘する声が上がった。日本で各国・地域の選手団が予定していた大会前合宿が、自治体の都合で中止になった例は多数。本番を迎えても感染は収束しておらず、最近の陽性判明で出場不可となった有力選手もいる。濃厚接触者に認定され、サッカー南アフリカ代表のように直前調整に影響を受けた例も出た。
 地方での大会前合宿を断念し、東京・晴海の選手村に直接入ることを選んでも、村内では感染者が毎日のように報告されている。生活にストレスが生じかねない状況で、米体操女子チームは選手村を避け、村外のホテル滞在を決めたと伝えられた。
 日本選手団もレスリングや卓球など多数の選手が、個室利用の可能な味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)の宿泊施設や村外ホテルに滞在。「リスクを考えれば選手村は怖い」と話す関係者もいる。慣れ親しんだNTCの練習施設も利用できる日本には有利で、ある競技団体の強化担当者は「コンディショニングでは私たちに分がある」と言い切る。
 通常以上に「地の利」がある大会で、日本オリンピック委員会(JOC)内では東京五輪の目標として掲げた金メダル30個をクリアできるとの見方も強まってきた。日本選手団の尾県貢総監督は「スポーツは平等の下でやるべきだと思うが、コロナ禍で世界の状況が全く違う。いかんともし難いと感じる」と複雑な心境を口にする。