2021-07-22 20:36

負担強いられた東京=冷え込む五輪招致〔五輪〕

 東京五輪が1年延期されてコロナ禍であえいでも、国際オリンピック委員会(IOC)は開催都市の東京、そして日本に対して冷たかった。
 延期後にIOCは最大8億ドル(約880億円)を負担するとしたが、それは財政に影響を受ける国際競技団体(IF)や国内オリンピック委員会(NOC)向けだった。日本側が昨冬に合意した追加経費2940億円の分担には加わらなかった。
 IOCが放棄した大会剰余金は追加経費を要する状況で発生するとは考えにくい。大会組織委員会が延期後に68社から集めた追加協賛金へのロイヤルティー放棄にしても、17億円程度にすぎない。
 IOCはあくまで、日本政府が申し入れた1年延期を了承したという立場を崩さなかった。五輪関係者は「IOCは日本のことなんか考えていない。考えていたら、もっとカネを出す」と言う。
 調整委員長は、大会で感染が広がれば日本側の責任としながら、緊急事態宣言下でもできると言い放った。開催すれば、IFやNOCへの分配金の原資となる放映権料が入るだけに冷徹だった。
 延期以前にも、重荷を負わされた。東京開催決定後にIOCが掲げた改革案に沿う形で、経費削減のために一部会場を既存施設に変更。広域開催になって警備や輸送の負担が増し、組織委幹部は「どっちが高くつくか分からない」と嘆いた。
 近年は五輪開催への立候補見送りや撤退が目立つ。夏季は2024年パリと28年ロサンゼルスを同時に決めてしのぎ、32年はブリスベンを一本釣りした。開催都市の東京が約8年にわたってIOCに負担を強いられた姿と、五輪招致の冷え込みがだぶる。